2011年6月1日(水)、MBS(毎日放送)ラジオの番組「たね蒔きジャーナル」に、小出裕章氏(京大原子炉実験所助教)が出演されました。
番組案内
2011年6月
1日【水】
福島第一原発設計者が語る
福島第一原発事故収拾のためにどのような策が考えられるのか?これまでにも、リスナーの皆様や研究者に様々な策を「たね蒔き」で提案してもらいましたが、きょうは原子炉を設計していた技術者に聞きます。お聞きするのは、福島第一原発4号機の原子炉設計にも携わった田中三彦さんです。そして、この事故は、津波という想定外のことが原因だという言い分を信じていいのでしょうか?地震国日本で安全な原発をどのうように考えたらいいのかを探ります。
京都大学の小出さんも登場します。
録音
【福島原発】6/1/水★IAEA(国際原子力機関)という組織について
要約
・(IAEAの調査団が来日して福島第一原発事故の調査中で、報告書の案が出た。日本政府の対応について、よく組織化されているとしている。IAEAとはどんな組織か、そしてこれをどうとらえるか?)IAEAには二つの役割がある。一つは核兵器が現保有国以外に広がらないようにすること。もう一つは原子力の平和利用をどんどん広げること。
・(IAEAは原発をどんどんつくろうという立場か?チェック機関ではない?)原子力は核と基本的に同じで、IAEAは原子力をやりながら裏で核を進めているということを監視する役目だが、監視しながらも原子力による金儲けを担保する役目だ。原子力は国際政治の中でも中でも舵取りが難しかったが、
IAEAは二つの顔を持ちながらうまくやってきた。
・(IAEAの報告書の素案には厳しさが足りない。平和利用の観点から言うとしても、もっと厳しいことを言ったほうがいいと思うが?)IAEAの事務局長が日本人だから甘くなったという面があるのではないか。
・(報告書には、津波の危険を過小評価していたと書くようだが、津波だけが悪かったというのは妥当か?)もちろん地震そのものも悪かったのだが、IAEAは津波が悪かったということにして、日本で原発を作りたいということ。
・(想定外の津波が来たのだから仕方ないと言いたい?)そうだ。
・(津波の危険を過小評価していたということをIAEAが報告書の柱にするならば、将来の日本の原発政策に影響大きい?)地震国の日本で原発が動いていること自体が問題なのだが、IAEAはそのことを問題にしたくない。津波のせいだけだということに押し込めたいと思っている。
・(IAEAの案では保安院の独立性を求めている。保安院については?)経産省や原子力委員会が原子力を推進、維持する組織。安全かどうかを監視するのが安全委員会。ここは実際は何の力もない。実際のチェックは保安院がするが、それも経産省のもとにある。
・(推進する経産省の傘下の保安院がチェックしている。IAEAさえ保安院は第三者でなく問題だと言っている。どうか?)こんな異常なことは日本だけ。
・(放射能測定の方法について、原子力安全委員会が、各機関の測定結果にばらつきがあり、現在のやり方では限界があると言い出した。測定する機械も、測定の高さもバラバラだと言う。どの数値を信じるべきか?)1時間あたり何マイクロシーベルトという数字がよく出ているが、その測定は好き勝手にやられていた。ある場所は1メートルの高さで測定し、別の所では60メートル。比較する意味がない数字を並べていた。
・(でもその数値が避難など人生の分かれ目になるが?)避難をするかどうかについては、地表面に降り積もった放射性物質の測定値が明らかになっており、それが大切。バラバラな測定値には重きを置くべきでない。
・(新聞に掲載されている地域ごとの何マイクロシーベルトには意味がない?)単なる目安だ。
・(地表の数字はどうすれば知ることができる?)文科省自身が測定している。30キロを超えた飯舘村の汚染は、今中哲二さんと仲間のグループが丹念に調べて実態を公表した。その翌日に文科省は自分たちも調べていたといってデータを出してきた。彼らは詳しいデータを持っているはずで、どの市町村、どの集落が強い汚染を受けているかをしっかり公表した上で対策に役立てないといけない。
・(心ある科学者が被曝覚悟で事故直後に現地に入っていることでやっと真実に近付いている?)日本の国というのはそういう国だ。
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