2012年12月24日月曜日
ストックを使ったウォーキングの歴史の文献学的検討:再論
私ウエルネスウォーカーは、その日その時、調べたり感じたことを即座に記録し、後日になってそれを引っ張り出したり検証する性癖がある。ま、要するに整理整頓の基本が出来ていない人間なのであります。そこで本日は私にとって本年発生した大きな出来事の中で、未だ記録していないものを、ここに保存しておきます。
この件に関する検証といいますか論評は、おそらく来年に持ち越すことになります♪
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出典URL: http://wwwbiz2.meijo-u.ac.jp/SEBM/ronso/no13_1/06_TOMIOKA.pdf#search=%27%E6%9D%91%E9%9B%B2%E4%BA%8C%E9%83%8E%27
名城論叢2012年7月 第13巻第1 号 P.57~58
ストックを使ったウォーキングの歴史の文献学的検討:再論
冨岡 徹
本論は『名城論叢』第8巻第4号に掲載され
た「ストックを使ったウォーキングの歴史と身
体的効果の文献学的検討」を補足するものであ
る。この論文において,歴史に関して記載すべ
き事実が欠落し,誤解を与えかねない点があっ
た。そこで,当該論文の歴史に関する項につい
て事実を追記するとともに,歴史の流れについ
て再度整理したい。
具体的には,p. 14,右16行目からにおいて,
1988 年にアメリカでの専用ストックが販売さ
れたのを受けて,本邦で1994 年に村雲二郎氏
により歩行用ストックが特許出願(1999年特許
登録)されたようにも読み取れる。しかし,ア
メリカでの専用ポールの市販(1988年)以前の
1986年には,すでに同氏によって「ストックで
歩行力を増進する運動法」の特許が出願(出願
番号S61-243070,1988年公開S63-97179,審査
未請求)されている。この事実の記載が欠落し
ていた。したがってアメリカでの販売より以前
にストックを使った歩行法が本邦において紹介
されていたこととなる。
また,Exerstrider がはじめてヨーロッパに
紹介された文献(4) に基づき「1985 年にアメリ
カ人のTom Rutlin が紹介」と示したが,
Rutlin氏が主宰するExerstrider 社のホーム
ページ(2) や他のE-book(1) では,「1985 年春,
踵をけがしている時に使ってみたら痛みが軽減
された。数週間後一般健常者の妻と共にいつも
よりゆっくりと歩いたらポールの使い方が力強
くなり,全身運動として有用であると感じた。」
(試訳)という個人的な経験に基づいている。
その他にもこの1985 年起源を説く書物(5),(6) は
複数みられるが,同様の出来事を比較的詳しく
1986 年のこととして記載する書物(7) もあり,
1985 年に起源を断定することには無理がある
と思われる。ましてや,このような経験談を健
康志向のストックを用いた歩行法の正確な起源
とすることはできないと考えられる。
これより,「ストックを使ったウォーキング」
そのものとその歴史について再度整理を試みた
い。2008 年の拙論ではヨーロッパにおいて普
及するノルディックウォーキングに議論の中心
がみられたため,補助具としてのストックにつ
いても整理しておきたい。
日本語でストックとは,一般にドイツ語の
Skistock に由来するスキーで滑走する際にバ
ランスを保持したりするために用いる杖状のも
のと理解されている。近年では英語での呼称で
ある「ポール」といった語も使われるようになっ
ている。他に類似するものとして,杖やステッ
キなどがあるが,これらは一本で片手に用いる
ものと理解される。通常「ストック」と表現し
た場合両手に持つものとして理解されるように
思われる。
いずれにせよ,このような歩行の際に用いる
棒状のものは,古くから巡礼などの長期間歩行
時などに下肢への荷重を軽減させる目的などで
自然発生的に用いられてきた。また,加齢や障
害により下肢への荷重を低減させる必要のある
際にも広く用いられてきた。これは,現在にお
いてもステッキや杖と表現され広く用いられて
いる。また,健常者においても,野山を歩くト
レッキング時に両手にストックをはめて歩くこ
とが現在も行われている。これは1976 年にド
イツのレキ社より世界で初めて販売されたとさ
れている(3)。
このようなストックは,おもに下肢への荷重
をストックに分散させ,負荷を軽減させること
を目的に用いられるものであった。しかし,村
雲二郎氏やTom Rutlin 氏の紹介するストック
は,ストックにより後方に推進力を発生させる
点でこれまでの歩行補助具としての観点から運
動器具への観点へと異なっている点が特徴的で
ある。1997 年に生まれたとされるノルディッ
クウォーキングもこの考え方に基づくものであ
る。このような推進力を増すストックは,上肢
などが歩行運動に動員されるため消費エネル
ギー量を増すなど運動効果が高い。これが,運
動不足が叫ばれる現代社会において注目される
所以の一つと考えられる。
一方で,トレッキング用ストックのように推
進力を期待せず,下肢への負荷を軽減させるこ
とを目的にしたウォーキング用ストックも現在
発売されている。トレッキング用ストックを街
中で利用する方法もこの一つと考えられる。さ
らには運動効果増大と荷重負荷軽減の両者の特
徴を同時に発揮しようと工夫しているストック
も見られる。
現在わが国では,ストックを用いたウォーキ
ング法には,推進力が生まれる(歩幅が増す)
ウォーキング法と下肢への荷重が軽減される
(歩幅が増えない,増えてもストックを重心よ
り前方に突く)ウォーキング法が普及している。
また,それぞれの特徴を併せ持とうとするもの
もみられる。今後このようなウォーキング方法
やストックの運動効果を議論する際,どのよう
なウォーキングストックを用いてどのようなテ
クニックを理想として行ったのかを十分把握す
ることが重要であると考えられる。
文献
⑴ Downer, D. ( 2006 ) : Nordic Walking Step By
Step. E-book
http://www.nordicwalkingstepbystep.com/
(2012. 06. 10確認)
⑵ Exerstrider 社ホームページ: http://www.
nordicwalkingguru.com/nordic-walking-guru-blog/
(2012.6.13確認)
⑶ Leki 社ホームページ: http://www.leki.com/
763--history.html(2012. 06. 10確認)
⑷ Schulte, F. ( 2003 ) : Exerstriding. Die effective
Sportart aus den USA. Condition 34(5) : 42-44.
⑸ Schwanweck, K. ( 2009 ) : The ultimate Nordic
Pole Walking.Meyer & Meyer Sport, UK. p. 13
⑹ Swenson, M. ( 2009 ) : Nordic Walking. Human
Kinetics.USA.
⑺ Walter, C. ( 2009 ) : Nordic Walking. The Complete
Giode to Health, Fitness and Fun, Hatherleigh
Press, New York. USA.
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<参考>
http://www.meijo-u.ac.jp/tatujin/31-45/36.html
2012年12月19日水曜日
健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料
健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料
平成24年7月
厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会
次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会
出典URL: http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_02.pdf
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<以下抜粋>
②身体活動・運動
ⅰ.はじめに
(ⅰ)身体活動・運動の意義
「身体活動」とは、安静にしている状態よりも多くのエネルギーを消費する全ての動きを、「運動」とは、身体活動のうち、スポーツやフィットネスなどの健康・体力の維持・増進を目的として計画的・意図的に行われるものを指す。
身体活動・運動の量が多い者は、不活発な者と比較して循環器疾患やがんなどのNCDの発症リスクが低いことが実証されている。これらの疫学研究による知見を踏まえ、WHOは、高血圧(13%)、喫煙(9%)、高血糖(6%)に次いで、身体不活動(6%)を全世界の死亡に対する危険因子の第4位と認識し、その対策として「健康のための身体活動に関する国際勧告」を2010 年に発表した1)。我が国では、身体活動・運動の不足は喫煙、高血圧に次いでNCDによる死亡の3番目の危険因子であることが示唆されている2)。また最近では、身体活動・運動はNCDの発症予防だけでなく、高齢者の認知機能や運動器機能の低下などの社会生活機能の低下と関係することも明らかとなってきた3)。これらの身体活動・運動の意義と重要性が広く国民に認知され実践されることは、超高齢社会を迎える我が国の健康寿命の延伸に有用であると考えられる。
(ⅱ)健康日本21における取組状況健康日本21の最終評価によると、身体活動・運動の分野における最大の懸念は、歩数の減尐であると指摘されている。歩数は比較的活発な身体活動の客観的な指標である。健康日本21の策定時には、10 年間に歩数を約1,000 歩増加させることを目標としていた。しかし、平成9年と平成21 年の比較において、15 歳以上の1日の歩数の平均値が、男性で8,202歩から7,243 歩、女性で7,282 歩から6,431 歩と、約1,000 歩も減尐した(図1)。1日1000歩の減尐は、1日約10 分の身体活動減尐を示している。
厚生労働省の健康づくりのための運動指針2006(エクササイズガイド2006)4)では、生活習慣病予防のために1日8,000 歩~10,000 歩(週23 メッツ・時)以上の身体活動を推奨しているが、我が国の現状はそれに遠く及ばない。歩数の不足ならびに減尐は肥満や生活習慣病発症の危険因子であるだけでなく、高齢者の自立度低下や虚弱の危険因子であるなど最も懸念すべき問題であることから、早急に重点的な対策を実施する必要がある。
図1 性年代別の歩数の平均値
(資料:健康日本21評価作業チーム「健康日本21」最終評価)
健康日本21最終評価では、30 分・週2回の運動を1年以上継続している者と定義されている運動習慣者の割合は、男性で平成9年の28.6%から平成21 年の32.2%へ、女性では24.6%から27.0%へ微増していた。しかし、性年代別に見てみると、男女とも60 歳以上の運動習慣者は増加している一方、60 歳未満では増加しておらず、特に女性では減尐が見られる(図2)。エクササイズガイド2006 では、30 分・週2回とほぼ同等の週1時間以上の運動(週4メッツ・時)を推奨しているが、特に60 歳未満の就労世代で7割~8割が実施できていない現状が見られた。
図2 性年代別の運動習慣者の割合
(資料:健康日本21評価作業チーム「健康日本21」最終評価)
健康日本21では、歩数や運動習慣者の割合の他に、意識的に運動をしている人の割合、外出に積極的な態度を持つ高齢者など、身体活動・運動に対する意識や態度についての評価も行ったが、歩数や運動習慣者の割合とは対照的に、有意に改善していた。このことは、身体活動や運動の重要性を認識し意欲的な者は増えたが、実際の行動に移すことができていないことを示唆している。
ⅱ.基本的な考え方
健康日本21の最終評価等を踏まえ、健康日本21(第2次)における身体活動・運動対策の指標としては、意欲や動機付けの指標でなく、「歩数の増加」や「運動習慣者の割合の増加」などの行動の指標を用いることが重要である。
(ⅰ)日常生活における歩数の増加
歩数は身体の移動を伴うような比較的活発(概ね3メッツ以上)な身体活動の客観的な指標である。「歩数の増加」は、健康寿命を延伸し、NCDを予防し、社会生活機能の維持・増進する上で、直接的かつ効果的方策であるため、指標として有用である。また、最近の歩数計や活動量計の普及ならびに多くの携帯電話に歩数計の機能が搭載されつつあることにより、歩数は多くの国民にとって日常的な測定・評価が可能な身体活動量の指標となっている。特に余暇時間の尐ない働き盛りの世代において、運動のみならず就業や家事など場面での生活活動も含む身体活動全体の増加や活発化を通して、歩数≒活発な身体活動を増加させる必要がある。これらの観点から、健康日本21に引き続き、歩数の増加を指標として設定する。
(ⅱ)運動習慣者の割合の増加
健康増進や体力向上など、目的や意図を持って余暇時間に取り組む運動を実施するこ
とによって、個々人の抱える多様かつ個別の健康問題を効率的に改善することができる。
このため、健康日本21に引き続き、運動習慣者の割合を指標として設定する。
65 歳以上の高齢者は、何らかの生活習慣病危険因子を有している者が多く、また余暇
時間が相対的に多いことから、運動もしくは余暇活動に積極的に取組むことが可能であり、運動習慣による効果が特に期待される。
(ⅲ)住民が運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体数の増加
身体活動や運動習慣は個人の意識や動機づけだけでなく、身体活動の増加に対する人々の協調行動の活発化を形成するための生活環境や社会支援が関係する5)6)。したがって、個人に対する啓発に加えて、自治体や職域における住環境・就労環境の改善や社会支援の強化などが望まれる。そこで、健康日本21(第2次)では、「運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体の増加」を指標として設定する。住民が運動しやすいまちづくり・環境整備の取組とは、住民の運動習慣や身体活動の向上を主目的とした環境やサービスの整備を対象とし、具体的には、住民の運動・身体活動の向上に関連する施設や公共交通機関等のインフラ整備、具体的な数値目標を伴った明確な施策実施、身体活動・運動参加を促進する財政措置、学校での体育授業以外の教育施策、身体活動を促すマスメディアキャンペーンなどの実施があげられる。なお、WHOの健康づくりのための身体活動国際勧告、米国のHealthy People 2020、身体活動のトロント憲章などでも、身体活動増加のために個々人に対するアクションだけでなく、住環境整備やソーシャル・キャピタル構築の重要性が強調されている。個人の身体活動・運動習慣の目標と社会の環境整備の目標がともに達成されることが、壮年期死亡や高齢者の社会生活機能低下の予防、ひいては健康寿命の延伸、健康格差の縮小などにつながることが期待される。
身体活動・運動の目標設定の考え方
ⅲ.現状と目標
(ⅰ)日常生活における歩数の増加
国民健康・栄養調査では、歩数計を用いて平日1日の歩数を測定している。平成22 年では、20 歳以上の歩数の平均値は、男性7,136 歩、女性6,117 歩であった。ただし、歩数は65 歳以降加齢に伴い減尐していくので、20 歳~64 歳と65 歳以上の2つの年齢群に分けて、それぞれ1日当たりの歩数を約1,500 歩増加させることを目指し、以下の目標を定めた。
目標項目 日常生活における歩数の増加
現状 20 歳~64 歳:男性7,841 歩、女性6,883 歩
65 歳以上:男性5,628 歩、女性4,585 歩 (平成22 年)
目標 20 歳~64 歳:男性9,000 歩、女性8,500 歩
65 歳以上:男性7,000 歩、女性6,000 歩 (平成34 年度)
データソース 厚生労働省「国民健康・栄養調査」
歩数を1日1,500 歩増加させることは、約15 分間の活動時間の増加ととらえることができる。また、身体活動量に換算すると1日0.75~1.0 メッツ時増加、エネルギー消費量では、体重70kg の男性で50-70kcal、60kg の女性で45-60kcal に相当する。こうした取組を1年間継続すると、食事の量(エネルギー摂取量)を変化させずに2.0-3.5kg の減量が可能である。
なお、1日1,500 歩の増加は、NCD発症および死亡リスクの約2%減尐に相当し7)、また、血圧を1.5mmHg 減尐させることが示唆されている8)。20 歳~64 歳の目標値である男性9,000 歩/日、女性8,500 歩/日は、健康づくりのための運動指針2006(エクササイズガイド
2006)において身体活動量の基準値の目安である1日8,000 歩~10,000 歩(23 メッツ・時/週)以上を満たしている9)。
市町村単位で身体活動量の評価を行う場合は、特定健診で用いられている標準的質問票の10 の質問「日常生活において歩行又は同等の身体活動を1日1時間以上実施」、選択肢「①はい、②いいえ」を用いることで他の市町村国保との比較や全国における各自治体の位置づけが把握できる10)。
(ⅱ)運動習慣者の割合の増加
国民健康・栄養調査では、30 分・週2回以上の運動を1年以上継続している者を運動習慣者と定義し、その割合を調査している。運動習慣者は就労世代と比較して退職世代では明らかに多いので、歩数と同様に20~64 歳と65 歳以上の2 つの年代に分けて目標値を定める必要がある。平成22 年の国民健康・栄養調査の値を現状値とし、両性、両年齢とも運動習慣者の割合を約10%増加させることを目指し以下の目標値を定めた。
目標項目 運動習慣者の割合の増加
現状
20~64 歳:男性26.3%、女性22.9%、総数 24.3%
65 歳以上:男性47.6%、女性37.6%、総数 41.9% (平成22 年)
目標
20~64 歳:男性36%、女性33%、総数34%
65 歳以上:男性58%、女性48%、総数 52% (平成34 年度)
データソース 厚生労働省「国民健康・栄養調査」
30 分・週2回(週1時間)の運動習慣を有する者は運動習慣のない者と比較してNCD発症・死亡リスクが約10%低いことが研究で示されている11)。なお、週1時間の運動実施者の割合を現状から10%増加させると、国民全体のNCD発症・死亡リスクの約1%減尐が期待できる。
目標値を20~64 歳と65 歳以上に分けた根拠は、余暇時間に取り組む運動の実施が就労の有無の影響を強く受けるからである。就労していない者の割合の多い高齢者と就労の多い若い世代では、異なった目標値を設定することが必要である。
市町村が運動習慣者の割合を評価する場合は、身体活動量と同様に、特定健診で用いられている標準的質問票の9の質問「1回30 分以上の軽く汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施」、選択肢「①はい、②いいえ」を用いることができる10)。
(ⅲ)住民が運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体数の増加
住民が運動しやすいまちづくり・環境整備の取組のために、特に都道府県が
① 住民の健康増進を目的とした運動しやすいまちづくりや環境整備の推進に向け、そ
の対策を検討するための協議会(庁内又は庁外)などの組織の設置
② 市町村が行う歩道、自転車道、公園及びスポーツ施設の整備や普及・啓発などの取組への財政的支援に取り組むことが重要であるから、これを指標とすることとした。都道府県の取組状況で、平成24 年5月現在、①又は②のいずれかを実施している17 都道府県を現状とし、目標は全都道府県とした。
目標項目 住民が運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体数の増加
現状 17 都道府県 (平成24 年)
目標 47 都道府県 (平成34 年度)
データソース 厚生労働省健康局がん対策・健康増進課による把握
ⅳ.今後必要となる対策
(ⅰ)他の生活習慣病対策との連動
平成18 年に策定された運動基準・運動指針の改定とその活用、すこやか国民生活習慣運動といったポピュレーションアプローチや、特定健診・保健指導や介護予防事業といったハイリスクアプローチといった、従来から実施されている生活習慣病対策や介護保健に関連する施策・事業を今まで以上に活用して、若者から高齢者までの全ての世代において、歩数増加ならびに運動習慣者増加のための支援をより一層強化することが不可欠である。
(ⅱ)評価・目標の妥当性・簡便性の確保と見える化
歩数などの評価指標は、身体活動・運動に関する目標設定の基盤であるが、こうした指標の妥当性を再評価し、さらなる標準化の余地がないか等を検討することが必要である。また、
身体活動・運動に関する個人や自治体の取組の位置づけを、他者や他の自治体と比較可能にし、「見える化」していかなければならない。
(ⅲ)多様なステークホルダーとの連携・リソースの活用
身体活動・運動習慣は年齢やライフステージの影響を強く受けるため、それに応じた多様なステークホルダーとの連携やリソースの活用が求められる。具体的には、こどもに対する
取組として、学校との連携や協力、家庭における生活習慣改善に対する支援が必要である。若者や働き盛り世代に対する啓発のために、雇用主や保険者などの職域における通勤方法や就労環境の改善、フィットネスクラブなどの健康増進施設やその他の健康産業の役割を支援する必要がある。また、高齢者の社会生活機能低下予防のために重要な社会参加を促進するために、高齢者の就労環境の整備や社会貢献の機会の提供を、行政と雇用主が共同して一層進める必要がある。
(ⅳ)ソーシャル・キャピタルの構築
身体活動・運動習慣の重要性に対する国民の認知は明らかに高まりを見せている。しかし、そこから一歩進んで行動につなげるためには、たばこ分野における近年の成果を推進したと思われる、公共施設での禁煙や路上禁煙の徹底などといった社会規範の形成が、身体活動・運動の分野でも必要である。また、身体活動・運動を改善するために、休養や食事・栄養などを含めた個々人の生活習慣全体を包括的に捉えたアプローチが望ましく、そのために様々な専門職が連携を図っていく必要がある。
***
(参考)健康日本21(第2次)の基本的方向及び目標
身体活動・運動
①日常生活における
歩数の増加
目標項目 日常生活における歩数の増加
現状 20 歳~64 歳:男性7,841 歩、女性6,883 歩 (平成22 年)→目標 20 歳~64 歳:男性9,000 歩、女性8,500 歩(平成34 年度)
65 歳以上:男性5,628 歩、女性4,585 歩 (平成22 年)→目標65 歳以上 :男性7,000 歩、女性6,000 歩 (平成34 年度)
②運動習慣者の割合
の増加
③住民が運動しやす
いまちづくり・環境整
備に取り組む自治体
数の増加
***
○ 次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会
第1回 平成23年11月25日 ・次期国民健康づくり運動プランの目的及び基本
的な方向について
・次期国民健康づくり運動プランにおける目標設
定の考え方について
第2回 平成23 年12 月7日 ・次期国民健康づくり運動プランの目的及び基本
的な方向について
・次期国民健康づくり運動プランにおける目標設
定の考え方について
第3回 平成24 年1月12 日 ・次期国民健康づくり運動プランの骨子(案)に
つて
第4回 平成24 年2月15 日 ・次期国民健康づくり運動プランの素案について
第5回 平成24 年3月19 日 ・次期国民健康づくり運動プランの素案について
第6回 平成24 年4月13 日 ・次期国民健康づくり運動プランの素案について
・次期国民健康づくり運動プラン報告書たたき台
について
次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会委員名簿
(50 音順・敬称略)
池田 俊也
国際医療福祉大学大学院教授
岡村 智教
慶應義塾大学医学部教授
尾﨑 哲則
日本大学歯学部教授
工藤 翔二
公益財団法人結核予防会複十字病院長
熊坂 義裕
盛岡大学栄養科学部教授
新開 省二
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター
研究部長(社会参加と地域保健研究チーム)
鈴木 隆雄
独立行政法人国立長寿医療研究センター研究所長
津金 昌一郎
独立行政法人国立がん研究センター
がん予防・検診研究センター予防研究部長
◎ 辻 一郎
東北大学大学院医学系研究科教授
津下 一代
あいち健康の森健康科学総合センター長
十一 元三
国立大学法人京都大学大学院医学研究科教授
戸山 芳昭
慶應義塾大学医学部教授
中村 正和
大阪がん循環器病予防センター予防推進部長
西 信雄
独立行政法人国立健康・栄養研究所国際産学連携センター長
野田 光彦
独立行政法人国立国際医療研究センター
糖尿病・代謝症候群診療部長
羽鳥 裕
社団法人神奈川県医師会理事
進
独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター院長
堀江 正知
産業医科大学産業生態科学研究所所長
三浦 宏子
国立保健医療科学院統括研究官
宮地 元彦
独立行政法人国立健康・栄養研究所健康増進研究部長
村山 伸子
新潟医療福祉大学健康科学部健康栄養学科教授
山縣 然太朗
国立大学法人山梨大学大学院医学工学総合研究部社会医学講座
教授
湯澤 直美
立教大学コミュニティ福祉学部教授
横山 徹爾
国立保健医療科学院生涯健康研究部長
吉水 由美子
伊藤忠ファッションシステム(株)
ブランディング第1グループクリエーションビジネスユニット
マネージャー
◎:委員長
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■抜粋おわり
健康日本21における【②身体活動・運動】は、12年前における頭書の実績より後退するという驚愕の結果となり、まさにこれこそ【②身体活動・運動】においても完全敗北の★失われた12年★と言えるだろう。
而して公益財団法人 健康・体力づくり事業財団の責任は重く、また平均歩数向上を実質的に任されていた社団法人 日本ウオーキング協会・本部の直接的責任は極めて重いものがある。
他方、社団法人 日本ウオーキング協会・本部は、この期間にずさんな会計経理の粉飾が続けられたことをあわせ考えると、腐敗堕落の極みと総括する以外に言葉が無い。ひるがえってそれらを考え見るに、社団法人 日本ウオーキング協会・本部に【②身体活動・運動】を委ねた事。基本的にその戦略自体に誤りがあったと認めなければならないのではないか !
私ウエルネスウォーカーは、今後はむしろ保健体育という学校教育において、【②身体活動・運動】分野における授業そのものを深める方策が望ましいのではないかと考える。なぜならば社団法人 日本ウオーキング協会は、今後、健康日本21【②身体活動・運動】第二次分野に取り組む姿勢も無ければ取り組んでもいないからであり、もともとその機能を有している組織ではないのだ。
最近の動きといえば、債務を弁済する目的の資格ビジネスに特化が目立つが、それもどこぞの組織に丸投げの状態であって、同協会・本部にそのような機能と組織は存在しない。
むしろ、全国都道府県ウオーキング協会にこそ、直接てこ入れすることがより効果があるのだと見る。学校教育もあわせここにも地方分権の時代が切り開かれなければならないのではないだろうか。- ウエルネスウォーカー記 -
<参考>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%81%A5%E5%BA%B7%E3%83%BB%E4%BD%93%E5%8A%9B%E3%81%A5%E3%81%8F%E3%82%8A%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E8%B2%A1%E5%9B%A3
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