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9月13日【日本学術会議が「地層処分」見直しを提言】「私がもう何十年も言い続けてきたこと。地下に埋め捨てにすることは許せない。とにかく私達の目の黒い場所で保管し続けるしかやり方がない」小出裕章(MBS)
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千葉「京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんです。では小出さん今日もどうぞよろしくお願いします」
小出「はい。よろしくお願いします」
千葉「今日は毎日新聞論説委員の池田昭さんと一緒に伺います」
小出「はい」
池田「小出さん、よろしくお願いします」
小出「あ、池田さんよろしくお願いします」
千葉「え…まず、最初の質問なんですけれども。こんなニュースが伝わっております。え、日本学術会議が、今政府が考えている、300メートル以上の地下深くに、原発から出る、高レベル放射性廃棄物を埋めるという最終処分法は、火山活動が活発な日本では難しいとして、白紙に戻して考え直すよう提言したという事なんですけれども。お…これを小出さんはどう思われますか」
小出「…え…当たり前のこと、を、ようやくにして学術会議が言い出した…」
千葉「はい」
小出「ということだと思いますが。」
千葉「はい」
小出「あまりにも、遅すぎる…」
千葉「はい」
小出「と、私は思います。え…日本の学問を背負ってきた人たち、が、これまで、原子力のゴミの始末の仕方に関して、何も発言もしないまま、むしろ容認…を続けてきたと、いうことなわけで。まぁ、今になって言ってくださるのはありがたいけれども。なんで今まで黙っていたのかと私は思います」
池田「従来からあの、小出さん、おっしゃってましたよね」
小出「はい」
池田「うん。それが今になって、と、いう、ね」
小出「はい。もう何十年も前からこの問題があるということは、誰の目にも明らかだったし」
池田「そうですね」
小出「日本というような、世界一の地震国に、放射能のゴミを埋め捨てに出来る場所なんていうものはないと、私はもちろん思って来ましたし。普通の常識のある方ならどなたでもそう思わなければいけなかったのですが。日本の原子力を進めている人たちは、しゃにむに、いや、できるできると言って、今日まで来てしまい、ました」
池田「うん。学術会議が今になって、なぜって思われますか?」
小出「はい(苦笑)。思います。いったいなんなんだ…この人達は何なんだろうと、まあ大変私としては、悲しいですけれども。まあ、思ったことは、まぁ、う…善は急げで、」
池田「そうですね」
小出「言って下さったことはもちろんいいことだとは思いますけれども。なんで今かという思いは拭え、ずに残ります。」
千葉「ふぅーん…。あの今、世界中を見渡してみても最終処分法として安全性が確立されたものっていうのは無いんですよね」
小出「何一つありません」
千葉「ふーむ。…あの、今回学術会議はですね、いつでも廃棄物を取り出せる施設を作って、数十年から数百年を目安に、一時的に、一時的に(苦笑)、保管することを提言したということなんですけれども。この保管だけでも簡単にできることではないですよねえ」
小出「あ(苦笑)もちろん、とてつもなく難しい、です。ただ、今日学術会議が言ったことは、私がもう何十年も言い続けてきたこと、です。地下に埋め捨てにすることは許せないことなので。とにかく私達の目の黒い場所で保管し続ける、しか、やり方がないと私も言って来ました。」
千葉「はい」
小出「ただし、それ自身が、何百年で終えることができるのか、何千年やらなければいけないのか。それすら私にもわからない、のです。」
池田「それ、あれですか。これを一時的って言えるんですかね」
小出「ははは、全く無意味な言い方だと、私は思います。まあ、これまでも、原子力発電をやることによって出るゴミというのはたくさんありまして」
池田「はい」
小出「今、学術会議が言い出したのは、高レベル放射性廃物というものですけれども。」
千葉「はい」
小出「そのほかにも膨大な体積の低レベル放射性廃物というのが、毎日毎日生み出されてきて。それは青森県の六ヶ所村に全て押し付けられることになって来ました。すでに20万本を超えるドラム缶が、六ケ所村に埋め捨てにされてしまいましたが。それが、え…管理を続けていって、管理をしなくてもいいという…日は、300年後に来ると、日本の政府は言って来ました。しかし、300年後って私は死んでいますし、原子力を進めてきた人たちもみんな死んでいますし。多分自民党も民主党もありません。そんな時まで一体誰がどういう責任で、面倒を見ることができるのか、私にはそれすらがわからないで、きました。ましてや高レベルの放射性廃物というのは、10万年100万年という、長い間にわたって隔離をしなければいけないゴミなのであって」
千葉「ええ」
小出「そんなものを一体、誰がどういう権限で生み出すことができるのか。それがまずは私は不思議です」
千葉「でも、今、もうまさに高レベル放射性廃棄物っていうのは、あるん…ですよね」
小出「そうです。広島原爆がばらまいた、核分裂生成物に比べると、120万発ぶんをすでに生み出してしまって、それがあります」
千葉「それは今、どうやって管理されてるんですか、そんな…」
小出「一部は原子力発電所の使用済み燃料プールの底に沈んだままになっています。」
千葉「はい」
小出「それは東京電力の福島第一原発も同じでした。」
千葉「はい」
小出「一部は六ケ所村の再処理工場に、3000トンという、燃料プールを作ってそこの底に沈めてあります。え…一部はイギリスとフランスの再処理工場に送ってしまって、そこで、え…再処理という作業をしてガラス固化になった形でまだ、残って、います。いずれ全てが日本に戻ってきます」
千葉「うーん」
池田「そうですね。あの、え…最近のニュースでも、イギリスとフランスが」
小出「はい」
池田「ですね、あの、うー、高レベルの廃棄物を引き取れと、言ってますよね」
小出「そうです。当然のことなのですね。契約してありますし。はい」
千葉「でもまあ、あの、プールの中にいつまでも入れておくわけにもいかないだろうし」
小出「はい」
千葉「え…その、ガラス固化体の状況になったものもそのまま野ざらしにしておくわけにもいかないということを、考えると学術会議はですね」
小出「はい」
千葉「10万年単位で(苦笑)、安全に保管できる容器の開発っていうのを提言してるんですけれども(苦笑)」
小出「はい」
千葉「10万年前って言うと旧石器時代に日本にナウマン象が住んでいた時代なんですけども(苦笑)」
小出「そうです」
千葉「今の科学技術はそんなこと、できる、可能性ってあるんですかね!?」
小出「ありません」
千葉「ないですよね」
小出「はい」
千葉「あ……」
小出「明確にありません」
千葉「ないですよねぇ」
小出「はい」
千葉「ということは、最終処分地というのは、」
小出「はい」
千葉「この高レベルの放射性廃棄物と10万年お付き合いしなさいという土地を、選ぶということなんですよね」
小出「そうです。日本というこの国でも、原子力安全・保安院という、まあ組織がですね。その、埋め捨てにする場所をこれまで20年近く探し求めて、きました。調査をさせてくれれば20億円やるぞという、カネをチラつ…チラつかせて、候補地を探し求めてきたのですが。さすがにこれに関しては、どこの自治体もウンと言いませんでした。そのためとうとう日本というこの国は、高レベル放射性廃物をモンゴルに捨てに行くという、そういう案まで出すようになっています」
千葉「はあ…。あの、今回日本学術会議は、最終処分法で、え…深い土の中に埋めるっていうのは考え直すようにって言ってますけども」
小出「はい」
千葉「今のような、10万年単位で安全に保管できる容器の開発とか言ってるっていうことを、考えると。まあ結論の先延ばしが意図なのかなあと思えなくもないんですが」
小出「そうですね(苦笑)。要するに私も、大変申し訳ありませんが。私にしてもどうしていいかわからない、のです。え…学術会議というのは、日本の学者のトップの組織、ですけれども。そこにいる人達にすら、どうしていいか全くわからない課題、なのです。でも、全くわからないということは、私自身何十年も前からわかっていましたし。学術会議は当然わからなければいけなかったのですが」
千葉「はい」
小出「今の今まで何も言わないまま、原子力を、みは…のやりたい放題にさせてきたんですね。学術会議も含めて。」
千葉「で、今回ですね」
小出「はい」
千葉「学術会議がちょっともう1つ驚くこととして。」
小出「はい」
千葉「え…総量規制、つまり原発から出る廃棄物の量の上限を決めようっていうふうに提言してるんですが」
小出「あ、はい(笑)」
千葉「ということは、今までは処分法も決まってないけれども。廃棄物は、どんどんどんどん出していいという出し放題の状態だったわけですか」
小出「そうです。まあ…原子力をやり始めた当時から、原子力はトイレのないマンションだと、言われていたわけで。皆が知っていました。ゴミの始末が出来ないということは。それでもいつかなんとかなるだろう、という期待のもとにここまできてしまった、のです。日本というこの国では、まだ、原子力発電所の再稼働なんてことを言ってるわけですし。2030年に何%だなんていう議論をしてるわけですけれども。やればやるだけ、自分で始末のできないゴミが溜まってきてしまいます」
千葉「ふう~ん……。わかりました…」
小出「はい」
千葉「もう1問質問させて下さい」
小出「はい」
千葉「東京新聞が伝えるところですと、お…福島第1原発の原子炉内を監視する機械が、今次々と壊れている、といったような情報がありまして。まず、2号機の原子炉の底にある温度計が、4つのうち3つ壊れて、残り1つになってるということなんですが。」
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続く:福島第1原発 炉内の温度計が次々と壊れている「もともと不十分な情報しかくれなかった。機械は必ず壊れます。次々と貴重な情報が奪われていく 」 小出裕章9/13(2)
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