2010年10月14日木曜日

岡田宰治先生の歩行整体(つづき)




真健康法!歩行整体 その17『運動療法としての歩行整体』

真健康法!歩行整体  

 〈歩行整体とは〉
 歩行によって心や身体のゆがみを直し様々な効果を得るための歩行療法であり、
 歩行用ポールを使う歩行と、ポールを使わない歩行の組み合わせで成り立つ。
 優れた運動療法・自己治療法であり、病気の予防法・健康法である。
 
 前回は『歩行整体の目的〈最良の運動療法として〉』でした。
 http://p.tl/_Bq6
 引き続き『運動療法としての歩行整体』を説明します。

 ●その17『運動療法としての歩行整体』

 (運動療法としての歩行整体とは)

 前回は、運動療法としての歩行整体について、
 あまり踏み込めませんでしたので、今回具体的なお話しをしましょう。

 運動療法というのは、
 「筋骨の萎縮、筋力低下、関節拘縮、心肺機能低下、精神機能低下の防止や、
 病気や障害の治療と予防を目的とした、運動を用いたリハビリテーション」
 というのが一般的な定義とされています。

 つまり、運動療法は治療も予防も含むというわけですが、
 どちらかというと、ケガや病気からの回復というところに力点があり、
 全身、または体の一部を使ったリハビリというイメージが一般的でしょう。
 別のいい方をすると、マイナスから0までの段階、
 不健康な状態から、ようやく健康の入り口までたどりついた段階までです。
 それより先、0~プラスは病気の予防や健康法だと考えます。
 
 (内臓機能の回復に役立つ歩行整体)

 「歩行整体は内臓機能の回復に役立ちます」といっても、
 「ピンとこないな?」という方が多いことだと思います。

 歩行療法と内臓の関係は以前からいろいろと報告されていますし、
 以前、この歩行療法のシリーズでも取り上げています。
 
 たとえば、腎臓機能が低下している場合を例にとって説明しましょう。
 腎臓に良い歩行は、ゆっくり歩くことだといわれていますが、
 なぜだかご存じですか?

 腎臓の働きは、血液を濾過して必要なものを再吸収し、
 不要なものを尿という形で排泄するという働きをします。
 いつも言っていますように、歩幅をとり骨盤を使った歩行を行うと、
 ゆっくりとしたスピードの歩行では、
 一歩一歩を通じて、腎臓にとって適度な振動と圧力が伝わります。
 この定期的な振動と圧力、ゆすられたり上下動などによって、
 腎臓の濾過が無理なく行われるので、腎臓の負担が軽減するわけです。
 自力で濾過せずとも、他力で濾過が進むので回復の機会が与えられるのです。

 ですから、腎臓の機能回復にとっては、
 無理なく濾過を進ませる低速の歩行が有効なのです。
 高速の歩行では、振動や圧力が強すぎて逆に負担が大きくなるので、
 逆効果になることがあります。消化器系臓器にも似たようなことがいえます。
 このように、各臓器にとって最適なスピードや歩き方があります。

 つまり、あなたの弱点、弱い臓器がある場合には、
 その臓器の働きが外力によって促進される歩行スピードや歩き方があります。
 歩行によって、継続的に臓器にかかる振動や圧力の変化がポイントなのです。
 他の臓器についても、同様のコツがあります。
 ですから、漠然と歩けば健康によいなどと、言っているわけではなく、
 根拠があって、歩行療法や歩行整体をすすめているのです。
 この辺の話は、長くなりそうですので、
 またの機会に他の臓器の機能回復についても説明します。

 (運動器の回復に役立つ歩行整体)

 上の内臓機能の回復に対する歩行に比べて、
 ひざや腰など運動器系統にたいする歩行の効果はイメージしやすいようです。

 もちろん、運動器系統に対しても歩行整体は効果があります。
 前回、ゆがみがとれると、機能が正常化していくといいましたが、
 確かに、ひとことでいえば、そうなのですが、
 細かいことをいえば、各関節で注意すべき事があります。

 例えば、ひざが痛む方が歩行する場合は、
 歩くことで、よけいに痛むことがあります。
 ポールを持って歩くのが安全で効果が高いのですが、
 じつは、ポールのつき方にコツがあるのです。

 ポールを持ち、ポールを後ろに押して歩くと自然と歩幅が広がりますが、
 この歩き方をいきなり行った場合、
 ひざへの負担が大きくなりますので、
 ひざが痛む人の場合は、悪化することも少なくありません。

 では、どうしたらいいのでしょうか。
 この場合は、ポールを後ろに押して歩くのではなく、
 ポールを体の前について、両手に杖というような形で歩くのです。
 このように、つきかたを変えて歩けば、ひざの負担は軽減され、
 ひざの運動をしながら、ひざの回復力を上げる事ができるのです。

 ここで、内臓の場合との共通点に気づかれた方も居られるかと思いますが、
 局所の負担を軽減しつつも、振動や圧力といった刺激は与え続けるということです。
 ここが、歩行療法、歩行整体が運動療法たるゆえんで、
 リハビリテーションとして正常化に向けて行う価値があるのです。

 (歩行で一時的に悪化した場合の対処法)

 これは、歩行によってひざなど局所に痛みが出たときの対処法です。
 局所が、歩行によって熱くなり熱を持った場合は、痛みにつながりますので、
 その部位を氷水で冷やし、熱取りをすることがとても大切です。

 炎症というように、痛みと熱の関係は密接です。
 よくあるのは、歩いてひざが痛くなった。腰が痛くなったというケースです。
 こんな場合、歩行をして悪化したからと止められることがありますが、
 これでやめては、非常にもったいないのです。
 痛みや炎症の程度によっては、一時的に歩行を止めていただくこともあります。
 しかし、多くの場合は、歩行前や歩行後に局所を氷冷していただきながら、
 歩くスピードや量をコントロールしながら、歩行を続けていく事が必要です。

 この辺が、マンツーマンの指導がいるところです。
 一人で行っている場合は、不安になり続けられなくなりますし、
 コントロールを間違ってやり過ぎれば、炎症が広がることがあるからです。
 ですから、ここで一つだけ覚えておいていただくとすれば、
 「歩いて痛みが出たところは氷水で冷やせ」ということです。

 --【ポイント】---------------- 
 リハビリとしての歩行整体は、内臓にも運動器にも効果がある。
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 ●歩行整体バックナンバー
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